シヌマDEシネマ/ハリー東森

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前作のパート1はコロナ禍の真っ只中、2021年秋の公開だった。そんなこともあってか映画館では見ていない。その翌年、デビッド・リンチ版「砂の惑星」(1984年)と併せて放映された「パート1」はWOWOWで鑑賞している。2年前のことなのに作品の内容はほとんどが記憶の彼方に消え去っていた。これも歳の所為なんでしょう。もう一度Amazonプライムで「パート1」を再見してから「デューン 砂の惑星 part2」見てきました。
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映画とは<非日常の体験>だと常々思っている。まさしく本作を鑑賞しての第一印象がこれだった。ストーリーが壮大で重厚、登場人物が多彩、上映が始まってから最後までスクリーンの中に引き込まれました。

最近のCG有りきのハリウッド製宇宙モノやヒーローものは、どうも<大人向け子供だまし映画>のようなチャラい気がしてそのテのものは敬遠している。が、これは違っていた。監督が言いにくく覚えにくい名前のドゥニ・ヴィルヌーヴで、この人の「ボーダーライン」は特に好きな作品で、すでに5~6回は鑑賞している。

本作の世界観(というか宇宙観)の描き方で、若い頃に鑑賞した「スターウォーズ」(1977年)を思い出した。と思ったら、1960年代に発表されたこの原作に、ジョージ・ルーカスのほうが影響を受けていたそうで、こっちの方が本家なんだ。知らなかった。

主人公ティモシー・シャラメの母親役を演じたレベッカ・ファーガソンは「ミッション:インポッシブル」の女スパイとは思えないほど抑えた容貌と演技で同一人物とは思えない。さすが役者だねぇ。

白塗りスキンヘッドで、主人公の敵役で登場したオースティン・バトラーがどこかで見た覚えがあると思っていたら「エルヴィス」でプレスリーを演じて、アカデミー賞主演男優賞にノミネートされていた俳優だったんだ。まったく分からなかった。さすが役者だねぇ。

その敵役のガールフレンドのような立場で登場したレア・セドゥ(ダニエル・クレイグ=ジェームズ・ボンドのボンドガール)はチョット出ただけで、その後どうなったかオトシマエがついていない。

ということで、2時間40数分に及ぶ壮大な物語は一件落着はしたようだけれど、大団円には至っていない。どうやらパート3へとなだれ込みそうである。

監督のマシュー・ボーンは、先日小欄で紹介した「コヴェナント/約束の救出」の監督ガイ・リッチーと同じイギリス出身で、この人もオシャレな作品というイメージがある。タロン・エガートンが売り出した「キングスマン」はその典型で、面白い作品だった。その監督の「ARGYLLE/アーガイル」見てきました。
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予告編からなんとなくストーリーの想像はついてしまっていた。(これが予告編を見てしまう弊害ではあるのだが・・・)流行スパイ小説の女性作者が、自身の書いた小説の世界に巻き込まれるという話なんでしょう。

こんなストーリーはどこかであったぞ。と思い出すと、最近ではサンドラ・ブロック主演の「ザ・ロストシティ」や、ちょっと古いところではジョディ・フォスター主演の「幸せの1ページ」なんかが、自身の書いた冒険小説巻き込まれ型の作品だった。

本作ではスパイ小説の中の主人公アガーイルが劇中劇で登場し活躍する。やっぱりこれまでの二番煎じみたいやなぁと思っていたら話の風向きが変わってきた。ストーリーが捻りに捻られて複雑になってきたではないの。中盤からは飽きることなく引っ張られました。

終盤のアクションで盛り上がる場面は、「キングスマン」のラストを思い出した。オシャレで華やかでチョットやりすぎの感はあるけれど、これがこの監督のセンスなんでしょう。序盤はどうなることかと心配したけれど、あと味スッキリ。おもしろい作品でした。

ただし、主演の女流作家ブライス・ダラス・ハワードと、重要な主演級脇役を演じたサム・ロックウェルは少し不満だった。ブライス・ダラス・ハワードは「ジュラシック・ワールド」シリーズのときに比べると随分お太りになったようで、ドレスを着ての後ろ姿はまるで大相撲大阪場所の照ノ富士を見るようだった。

サム・ロックウェルは「スリー・ビルボード」のアクの強い役でアカデミー賞助演賞を獲ったあとは、好感度の高い脇役を「リチャード・ジュエル」「ジョジョ・ラビット」などで演じてきてはいるが、脇役だからこそ光るのであって、このテの役は似合わない。ただし、先日のアカデミー賞助演男優賞のプレゼンテーターとして登場したときは風格もあって、また印象は違っていたが・・・。

終盤のオシャレで華やかなアクションシーンは、まさしくそのふたりが踊るように敵役をバッタバッタとやっつける見せ場だったが、そんな不満を抱えながら見てしまった。俳優業、役に見合った見栄えは大事である。

さて次は「デューン 砂の惑星」だな。

監督のガイ・リッチーといえば「シャーロック・ホームズ」や「コードネーム U.N.C.L.E.」など洗練されたオシャレな作品という印象がある。最近の作品「ジェントルメン」「キャッシュトラック」もWOWOWで鑑賞していてナカナカ面白かった。その監督のアフガン紛争を題材にした戦争モノとなるとちょっと毛色が違うなぁと思いながら「コヴェナント/約束の救出」見てきました。
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アフガニスタン紛争に介入した米軍は現地で通訳を雇い、彼らにはアメリカ移住ピザを与えるという条件(誓約=タイトルのCovenant)で採用した。しかし米軍の撤退後も移住できず現地に残された人たちは、支配権を握ったタリバンに殺害されたり、今なお隠れて暮らしているそうである。このあたりも戦争の惨たらしい暗い影である。

本作は米軍に雇われたひとりの現地通訳と、ひとりの米軍兵士の、出会いと再会が描かれる。負傷して帰国した米軍兵士が、命がけで救ってくれたその通訳が移住ピザももらえず、タリバンに追われて隠れているのを知り、単身助けに戻るというお話。

物語の中盤、負傷して動けなくなった主人公の米軍兵士を手製の担架で運びながら、タリバンが探し回る200kmほどの道のりを逃亡する様は壮絶だった。これまでのオシャレな監督の描き方とは程遠いドロ臭さだ。

主人公はロサンジェルスで車の修理工場かなんかを経営していて、従軍している際は妻が工場をやりくりしていた。幼い子供もいる。傷が癒えて退役した主人公が、家族を残して命の恩人の通訳を(私費で)助けに行くかどうするか葛藤する。

その時の奥さんの対応がグッときた。「お金は心配しないで、工場を担保に入れといたから。あなたの正しいと思うことをしなさい。ただし生きて帰ってくるのよ」たしか、こんなセリフだったと記憶している。こういう男前の奥さん、シビれるねぇ。

物語の終盤、ふたりの再会のシーンは「キリング・フィールド」を思い出した。ジョン・レノンの「イマジン」がバックに流れるあの感動的な場面である。ところがだいぶ違った。ふたりはシャイなんでしょうオトナの対面だった。なんともシブいこういうのもいい。

ということで、これまでとはちょっと違った監督作品を楽しませてもらいました。

フランス映画「落下の解剖学」見てきました。地味な映画のはずなのに、TOHOシネマズなんばは平日のお昼にもかかわらず、満席の完売でした。タイトルは原題のフランス語:Anatomie d'une chute も英語:Anatomy of a fall も邦題と同じ。このタイトル、作品の的を得ていて気に入っている。
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ドイツ人でベストセラー作家の妻、フランス人の売れない作家で教師の夫、事故で視覚障害を負った11歳の息子、それと犬。グルノーブル近郊の人里離れた山荘で幸せそうに暮らす家族。その夫が3階から転落し死亡する。単純な転落事故と思われたが、警察の捜査が進むうち不審な点が浮かび上がり、やがてその妻が殺人罪で起訴される。夫の死は果たして事故か自殺か他殺か・・・。そんなお話。

作品の感想を述べるために、ネタバレにならない程度にもう少し詳しく語りたい。なぜ、妻が殺人の容疑で起訴されるに至ったかが、物語の進行、つまりは裁判の進行とともに少しずつ明らかになっていく。例えば

ロンドンの暮らしに満足していたのに夫の頼みで渋々フランスに移住したことで妻は不満を持っていたこと。息子の事故による視覚障害の責任問題で夫婦で衝突していたこと。小説のアイデアを妻が盗んだことを夫は根に持っていたこと。転落死の前日にも激しい夫婦喧嘩をしていたこと。夫が転落したとき息子と犬は散歩に出かけ家には妻しかいなかったこと。などなど。

たしかに妻に容疑がかかってもおかしくない事象だが、すべていわゆる状況証拠である。仲の良い夫婦でもお互い不満はあるでしょう。些細なことで喧嘩もするでしょう。例えば

テレビで<70歳の女性が72歳の夫に首を絞められて殺害されました>というニュースを見ながら、私が家内に向かって「キミも気ぃつけぇよ」なんぞと言うのはしょっちゅうである。裁判で検事側はそんな部分だけを切り取って攻めてくるわけだ。コワいコワい。

イギリス生活が長かったせいか、起訴された妻は英語は達者だがフランス語はもうひとつという設定。会話は英語とフランス語が入り乱れながら進行する。このあたりのやり取りの面白さは、日本語吹き替えでは到底伝わらない。

上映時間2時間半もダレることなく最後まで引っ張られました。そして裁判はそれなりに結審するのだが、鑑賞後の後味はもうひとつスッキリしなかった。従って私の感想ももうひとつスッキリせず、未だにモヤモヤしている。このあたりがハリウッド作品との違いなのかもしれない。

映画館に足を運んで韓国映画を鑑賞したのは、ちょうど4年前の「パラサイト 半地下の家族」以来となる「犯罪都市 NO WAY OUT」見てきました。主演はマ・ドンソク。ちょっと前置きが長くなるがわたくし、この俳優が嫌いではない。

韓国映画の犯罪モノというと、暗くて残酷で・・・つまりは陰惨で・・・似たような表現しか浮かばないがそんな印象を持っていて、どちらかといえば敬遠していた。それが、数年前WOWOWか何かで鑑賞した「無双の鉄拳」を見て、その印象が少し変わった。

主演のマ・ドンソクがムチャクチャ強い。“気は優しくて力持ち”の典型で、ちょっとトボけて明るいのがいい。悪い奴らをバッタバッタとやっつける、私の好みのおもしろい作品だった。それからは彼の作品を機会があれば見るようにしている。

本作は「犯罪都市」シリーズの3作目。本作と同様、前2作もタイトル通りの犯罪モノで、韓国映画特有の・・・つまり陰惨なんだけれど、マ・ドンソクのとぼけた明るさがその暗さを薄めてちょうど良い塩梅の面白い作品だった。その3作目となれば、家のテレビではなく大きなスクリーンの大音響で見たくなるわけだ。
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さて本作では日本のヤクザ役で青木崇高(「ゴジラ-1.0」では好印象の役だったがこっちは悪役)が出てきたくらいで目新しいところは特になかったが、マ・ドンソクのトボけたユーモアは相変わらずで笑えるシーンがいくつかあった。そして悪い奴らをバッタバッタとやっつけるところもやっぱり痛快だった。

おそらくこの人、素手だったらジェイソン・ボーンやイーサン・ホーク、ランボーなんかより強いんやないやろか。

ということで、シニア料金1,300円で2時間ほど。あーおもしろかったで何も残らないけど、これも映画。ありがたくいただきました。

ちょっと所用があって、以前勤めていた大阪・本町にある職場を訪ねた。当時私と一緒に仕事をした同僚がまだ現役で頑張っている。ちょうど昼時でその彼と豪勢な昼食を食べて別れた後、なんばパークスシネマに向かった。今回は大阪に出た<ついで>の映画ではない。

先週「エクスペンダブルズ4」を見に行った時に流れた何本かの予告編の中で、これは面白そうだと直感した「VESPER/ヴェスパー」見てきました。
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直感が外れた。まったく面白くもなんともなかった。お昼に奮発して食べた上ちらし寿司の満腹感もあって、映画を見ながらも度々襲ってくる眠気と戦いつつも、思わず数秒間コックリしてしまった。自称映画ファンとしては恥ずかしいことではある。が、最近そんな作品があったことを思い出した。

昨年鑑賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」もそんな感じだった。どんな話だったの?と聞かれても上手く説明できない。だから感想の書きようがないのだ。ひとことで言えば繰り返しになるが、面白くもなんともなかった。それだけ。

どんな作品だったのか、どこが面白くなかったのかも上手く説明できないので、本作の公式HPから一部引用させていただく
<世界三大ファンタスティック映画祭の一つブリュッセル国際映画祭で最高賞(金鴉賞)を受賞ほか各国の映画祭を席巻、更には映画批評サイト「Rotten Tomatoes」で実に91%支持というハイスコアを獲得(2023年10月17日現在)するなどますます注目を浴びている。・・・以下省略>
さらにあらすじの説明文
<生態系が壊れてしまった地球。一部の富裕層のみが城塞都市“シタデル”に暮らし、ほとんどの貧しい人々は危険な外の世界で僅かな資源を奪い合うように生活していた。そんな外の世界に寝たきりの父と二人で暮らす13歳の少女ヴェスパーは、ある日危険な森の中で倒れている女性カメリアを発見する。・・・以下省略>

時代はいつ頃なのか。どうして地球がこうなったのか。地球上のどこの話なのか。そして話はどう続くのか。なんとなく始まってなんとなく終わってしまった。これでは分かるわけないでしょ。

「こういう映画、分かるかなぁ? 分からなければけっこうです」そんなスタンスの作品なんでしょうが私にはハマらなかった。それでも前述の「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は今の若者たちにはこういったものが受けるんだなぁ、と感覚的に理解はできたけれど、本作はまったく理解できませんでした。

ということで、本作の予告編がコレ。予告編だけ見るとやっぱり面白そうなんだけどねぇ。

所用で大阪に出たついでに映画を見てきました。いやいや映画に対して ついでに は失礼なのだが、特にこれといって見たい作品があるわけではなかった。ということはやっぱり ついで だったか・・・。そんな中で選んだのが「エクスペンダブルズ ニューブラッド」。

本国では大コケにコケたそうで評判もけっして良くはない。それでもこれまでのシリーズ3作品を映画館で鑑賞してきた自称ハリウッド製アクション映画ファンとしては義理人情と忖度もあるわけで、映画館に足を運ぶ前からハードルをいちばん低いところに下げての鑑賞となった。
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そのお陰かどうか、思ったほどヒドいものではなかった。かといっておもしろかったーと言えるほどでもなかった。粗削りなストーリーでは派手なドンパチを見せてくれても迫ってこない。悪役が憎ったらしくないから、やっつけた時のテンションはまったく高くならない。

2作目、3作目ももうひとつだったが、ブルーズ・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガー、メル・ギブソンにハリソン・フォードといった主演級の俳優を出演させて何とか切り抜けてきた。今作はそんな目新しさも無かった。これではいけない。

御年77歳のシルベスター・スタローンは「ロッキー」といい「ランボー」といい、まだ続けるんかい。というほど作ってきたが、このシリーズも同じ轍を踏んでいる。そんなスタローンさんは相変わらず肌はカサカサで、往年の脂っこさは無くなってしまった。今作は出番も少なかったし、そろそろ引退されてもいいんではないですか。

映画館へ足を運ぶのは今年最後になるでしょう。その締めくくりとして「ナポレオン」見てきました。冒頭、1792年フランス革命によってマリー・アントワネットがギロチンに処せられるという、ショッキングなシーンから始まった。
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革命後の混乱が続く1793年、砲兵隊の大尉にすぎなかった24歳ナポレオンが、英国の後押しで反乱を起こした王政復古派を南フランスのトゥーロンで破って歴史に登場する最初の見せ場から、1815年ワーテルローでの英国連合軍との闘いをクライマックスに、51歳で1821年セントヘレナ島で没するまでの半生が描かれる。

妻ジョセフィーヌとの出会いから別れの模様を軸にしながらの、ナポレオン史をダイジェスト版のようになぞるような展開で、話にちょっとついていけなかった。ナポレオンのことはある程度知っているつもりだったが、この時代17世紀末から18世紀初頭の欧州の情勢をもうちょっと頭に入れてから鑑賞すればよかったと後悔。

リドリー・スコット監督の歴史物といえば一番に浮かぶのが「グラディエーター」(2000年)で、そんな戦争シーン満載のドラマチックな作品を期待していたのに意外と淡々と描かれていて、もう少しアクションシーンが欲しかった。

それでも、ろうそくの灯かりだけの暗がりの中の晩さん会の様子や、その晩さん会で演奏されている音楽の優雅さなど、さもこんな風だったんだろうという雰囲気がリアル伝わってきた。この時代すでにモーツァルトは没していて、ベートーベン(1770年~1827年)はナポレオンと同じ時代を生きていたわけだ。

その晩さん会の映像だけでなく、ハッとするような、まるで絵画のような切り取ってみたいシーンがいくつかあった。パリへ行ったときルーブル美術館で実際に目の当たりにした、ダヴィッドの「ナポレオンの戴冠式」と同じシーンが再現されていてちょっと感動した。
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ジョセフィーヌを演じた女優がどこかで見たと思ったら、「ミッション:インポッシブル」の前作「デッドレコニング PART ONE」、前々作「フォールアウト」に出ていたヴァネッサ・カービーでした。

ということで、今年もあと僅か。毎年恒例、映画館で鑑賞した19本の作品を総括をしないといけない。

その昔、職場の同僚だったSさんとは今でもお付き合いがあり、LINE 友だちでもある。そのSさんから先日 LINE が届いた。Sさんにごく近い親戚の女の子が、近々公開されるアニメの主人公の声優として出ているので応援よろしく。とのこと。

邦画・洋画を問わず、アニメには全く縁の無い私である。次は「ナポレオン」を見に行こうと決めていたが、この<お知らせ>をもらった以上知らないふりもできない。多少の忖度もあったし、こんな機会でもないとアニメを見に行くことなんかないかも。と思い直した。

戦争映画や西部劇にはまったく興味を示さず、たいていは「ひとりで行ってきて」と言う家内も、それなら一緒に見に行きたいと。ということで「窓ぎわのトットちゃん」見てきました。ちなみに黒柳徹子の原作は、最近刊行された続編も含め未読。
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物語は昭和15年、トットちゃんの小学1年から始まり、昭和20年、トットちゃんが小学6年で青森に疎開するまでの、東京での生活が描かれる。時代が時代だけにもっと戦争色が濃いかと思っていたが、そうでもなかった。トットちゃんが主人公であり、その目線で描かれるのだからそれは当たり前か。

それでも戦争の影がジワジワと忍び寄る大人の世界を背景に、明るく天真爛漫に生きるトットちゃんの声を演じた少女 大野りりあな は、オーディションで大抜擢されたというだけあって、瑞々しく好感が持てた。

あの時代にしてパパ、ママと呼ぶ裕福な家庭だったというのが意外だった。理解ある小学校の校長先生が良かった。小児まひの男の子との出会い、触れ合い、別れも、切なかった。昭和のあの時代の雰囲気も懐かしかった。私よりもう少し上の世代の人にとってはたまらなく共感できたと想像できる。

ということで、ハリウッド製のアクション映画だけでなく、たまにはアニメもいいもんだ。と、ちょっとだけ思い直している ハリー東森 です。

映画館へ足を運んで邦画を鑑賞するのは2年前の「燃えよ剣」以来となる。たいていの邦画はWOWOWなどで放映されるのを待って鑑賞するのだが、この作品を家で鑑賞するのはちょっと勿体ない。できれば大スクリーン・大音響・高音質で見てみたい。で、「ゴジラ-1.0」見てきました。
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いやーおもしろかった。単純な怪獣映画にならず、終戦直後の混沌とした様子と共に人間ドラマとしても描かれているところが良かった。ただし2016年の「シン・ゴジラ」もそうだったが、この作品も子供たちにはちょっとムリかもしれない。

できればお父さんが映画館へ連れて行く前に、ジイジやバアバが小さいとき(私は生まれていなかったが)戦争があって大変だったこと。特攻隊というのがあって若い兵隊さんがたくさん死んでいったこと。そんなことをお子達に教えておいたほうがいいのかもしれない。まぁ私がそこまで気を配ることもないのだが・・・。

それにしても、ゴジラの造形は上手に作ってあった。恐ろしい面構えをしていて、とにかく憎たらしかった。我が国の視覚効果技術もハリウッドには負けていない。それに、1998年版「GODZILLA」や2014年版「GODZILLA」などハリウッド製ゴジラを何本か見てきたが、やっぱりゴジラは(テーマ音楽も凄まじい咆哮も)我が国のゴジラに限る。

半年のあいだ楽しませてもらったNHK朝ドラの「らんまん」コンビ、浜辺美波は相変わらず可愛ゆかった。神木隆之介は朝ドラの明るさとは打って変わって戦争の負い目を引きずって生きる役だったが、この人は明るい役の方が似合うな。

そのほかの主な俳優陣も、それぞれの役目を果たしそれぞれの個性が光っていた。そこが単純な怪獣映画にならなかったところで、ここのところがお子様にはちょっと・・・分かるかなぁ、分かんねぇだろーなぁ。特に佐々木蔵之介(この人、滑舌はもうひとつだが、声がいい)が印象的だった。悪役をゴジラだけに任せ、人間界には悪人がひとりも出てこなかった。これも好感が持てた。

ちょっと褒めすぎたかもしれないが、映画館へ足を運ぶのは洋画だけでなく、たまには邦画もいいもんだ。と、思っている今日この頃の ハリー東森 です。

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