桜も咲きだしてそろそろ花見だというのに、子供たちは卒園式だ卒業式だというのに、どこを向いてもコロナ、コロナで気が滅入る。株は下がりまくってさらに気が滅入る。

ちょうど今頃は、久しぶりに名古屋の友達を訪ねる予定をしていたが中止となった。来週は孫のお食い初めで千葉に行くのを兼ねて、劇団四季の「キャッツ」を観劇するつもりでいたが、どちらも今回は控えることにした。スマホに入れているスケジュール表の3月の予定には「」ばっかり付いていく。

といって、そうそう家に閉じ籠ってばかりはいられない。で、橿原のTOHOシネマズで「ジュディ 虹の彼方に」見てきました。平日の午後、観客は私たち夫婦を含めて7人ぽっきり。ガラガラの館内は密閉状態というより解放感たっぷり、濃厚接触まったくなし、のびのびと鑑賞できました。
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さてその「ジュディ 虹の彼方に」。往年のハリウッド・ミュージカル・スター、ジュディ・ガーランドをレニー・ゼルウィガーが演じ、アカデミー賞主演女優賞を獲得している。リアルタイムのジュディ・ガーランドを私は知らない。が、その歌の上手さは知っている。この歌を聴くたびにウルウルしてしまう。
そのハリウッドスターの、あのキラキラした輝きは、本作には無い。47歳でひとり淋しく亡くなる6か月前の、ロンドン公演の様子を軸に物語は描かれる。ハリウッドからも見放され、経済的にも困窮し、幼い子供たちをアメリカに残して、酒と薬に溺れながら歌う彼女は、哀れで哀れで、可哀そうで仕方なかった。

そんなジュディ・ガーランドをレニー・ゼルウィガーが切々と演じ、歌っての主演女優賞である。本作鑑賞後、家でジュディ・ガーランドの「スタア誕生」(1954年 上映時間 154分)をざっと見直した。やっぱり歌は上手いねぇ。レニー・ゼルウィガーも下手ではないが、とても及ばない。それにどうしてもジュディのイメージに合わなかった。なんか、レニー・ゼルウィガーの人生そのもを演じているように思えてしまった。

終わり良ければすべて良し。ということわざがある。彼女の晩年は本作のように良くなかったんでしょう。だからといって彼女の人生を「終わり悪ければすべて悪し」で括ってしまいたくはない。きっとキラキラした幸せな時もたくさんあったんでしょう。そんな作品をぜひ見せてほしい。でないと天国の彼女が可哀そうだ。

「終わり良ければすべて良し」ということわざは、長い人生には当てはまらない、当てはめたくない。そんなことを思わせてくれた作品だった。