シヌマDEシネマ/ハリー東森

2019年11月

あっという間の5泊だった。ニューヨーク最後の朝、6時過ぎ。前日に予約しておいた乗合タクシーで、他のホテルの観光客を拾いながらニューアーク空港へ。午前11時発のユナイテッド航空で成田に向かう。あれこれハプニングはあったけれど大きなトラブルもなく、無事帰ってこられました。

今回の旅行は小欄での最初にも述べている通り、H.I.S.が7月に募集した燃油サーチャージ込みで、なんと116,800円という格安ツアーに申し込んだ。ツアーといっても、航空機とホテルを押さえただけで、あとはなんにも無しのいわば個人旅行である。ただし、個人で飛行機とホテルを取ったとしても(取ってみようと試みたが)こんなに安くはならない。

ただし覚悟はしていたが、宿泊したアムステルダム・コート・ホテルはもうひとつだった。地下鉄1号線51st.駅から歩いて1分。隣の駅のタイムズスクエアまでぶらぶら歩いて7~8分というマンハッタンの中心で、立地条件だけが救いのホテルだった。料金が料金だけにしかたない。あらためて画像でみると、いかにも古めかしい建物だ。
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ツアー代金が安くなった分は、観光のほうへ回すことができた。特にジャズライブやミュージカルなど、ニューヨークで体験したかったことが、やっと実現できたのがいちばんの収穫だった。

以下は今回の旅行から得た感想。詳しいことは、また小欄で述べてみたい。

あらかじめ仕入れておいたネットからの情報が、いかにいい加減なものかということが現地で確認できた。特に個人が投稿した旅行ブログ(まさしくこのような)や観光情報は掲載時期に注意しないといけない。“事件は現場で起こっている”のだ。

パリやロンドンとはまただいぶ違う地下鉄では、いくつものトラブルに見舞われた。その地下鉄もそうだが、今回の旅行で特に感じたのは、まさしく“アメリカ・ファースト”。海外からの旅行客には冷たい街だった。公共施設などは、外国旅行客への配慮がひとつも感じられなかった。もっとも我々が困っていた時に、優しく声をかけてくれた人たちも何人かいたけれど・・・。

成田空港に着いて出口に向かうまでのアプローチには、英語・韓国語・中国語で歓迎の文字やイラストが大々的に並んでいた。日本はなんと海外旅行客に優しい(優し過ぎる)国なんだろう。そして、こうして海外の様子を体験してくるたびに、やっぱり我が国がいちばんだと実感するのである。

滞在期間5泊というと長いようで短い。到着日と出発日はバタバタするから、一日ゆっくりできるのは中4日しかないのだ。その4日目。最後の一日は朝から小ぬか雨がぱらついていて、エンパイア・ステート・ビルの天辺も霞んで見えない。

この日はブルックリン橋を歩いて渡って、ブルックリン側からマンハッタンの摩天楼を眺めるつもりだったがこの天気だと、ニューヨークを舞台にした映画によく出てくるあの景色は望めない。やむなく断念し、家内のショッピングに付き合うことになる。
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それでも、映画によく出てくる国連ビルやフラットアイアンビルは見ておきたくて、地下鉄・タクシーを利用して訪れた。国連ビルでは朝の9時頃に入口付近をウロウロしていたら、「何かお困りですか」と日本語で声をかけられた。国連に勤める日本人女性だった。「日本のために頑張ってください」とAさんが声をかけていた。

ニューヨーク最後の夜は本降りの雨となった。ジャズクラブ「ビレッジ・バンガード」へタクシーで向かう。途中、ワシントン広場を通った。黒人の運ちゃんに、 ♪パッ パッ パー パ パッパッパー と「ワシントン広場の夜は更けて」をAさんと唸ったが、運ちゃんは知らん顔。若いから知らないのか、唸りが下手だったのか。
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「ビレッジ・バンガード」では総勢17人のフルバンド。演奏者の息遣いまで聞こえてくる2m半ほどの至近距離でジャズに浸かった。若い日本人男性ふたりと隣り合わせになった。ひとりはアルトサックス、ひとりはドラムを音楽学校で学んでいて、将来ジャズの道でプロを目指しているとのこと。まさしく映画「セッション」の世界だな。サインもらっとけばよかった。

ホテルに帰ったのが深夜12時半。明日は早朝6時、ホテルを出発し帰国する。

タイムズスクエア教会では毎週日曜日の10時から行われるミサで、ゴスペルが歌われているそうで、これはぜひナマのゴスペルを聴きたくなる。この日はその日曜日。宿泊しているホテルから徒歩3分のその教会へ行ってみた。
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今回のニューヨークでは、ジャズやミュージカル、ストリートミュージシャンなど様々な音楽に接したが、このゴスペルが最高の体感だった。詳しくはまた別の機会に綴りたい。
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午後からタクシーでメトロポリタン美術館へ。前回はツアーだったので時間的な制約があったが、今回はゆっくりゴッホやモネなど巡ることができた。メトロポリタン美術館はセントラル・パークの東側にあり、セントラル・パークを挟んでその西側にはダコタハウスがある。その距離約1.5km。歩いて行ってみた。
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ダコタハウスは、ジョン・レノンが1980年12月に凶弾で斃れた場所である。前回は観光バスの中からしか眺められなかった。りっぱなエントランスでは警備員がふたり常駐していた。観光客慣れしているんでしょう、写真撮影に気軽に応じてくれた。

近くのセントラル・パーク内のモニュメント「ストロベリー・フィールズ」では日本人の女性がギターひとつで「Oh! Darling」を歌っていた。それ、ポールの曲やしぃ・・・。

夜はミュージカル「アラジン」を観劇。ミュージカルの観劇は、30年ほど前に大阪梅田の特設会場での劇団四季の「キャッツ」以来2度目のはず。映画・アニメの「アラジン」でストーリーは知っているものの、英語が分かればもっと良かったんでしょう。それでも、ステージと観客が一緒になって盛り上がるという映画にはない醍醐味に感動しました。
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友人と一緒に劇団四季の会員になっている家内に感想を聞くと「劇団四季のライオン・キングのほうが良かったわぁ」だと。ホンマかいな? ステージから8列目のいい席で、日本人の若い男女と隣り合わせになった。新婚旅行とのこと「おめでとう」。チケットの値段を聞いてみたら、安売りショップで当日ひとり91ドルで購入したという。我々はネットで137ドルで買ったのにぃ。

これはいかん。またニューヨークに来て、安売りショップでチケットを買って、ミュージカルのハシゴをしないといけない。その時は「ライオン・キング」を観よう。それと劇団四季にも行ってみないと・・・。

早朝5時にホテルを出て、地下鉄で「mega bus」乗り場へ。6時発の長距離格安バスでワシントンD.C.へ。その距離ざっと380kmほど。ざっくりと東京から名古屋までくらいか。約4時間かけて10時頃ワシントン、ユニオン駅着。この距離を日帰りしようというから、元気なのかアホなのか。
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ユニオン駅からホワイトハウス近くのMcPherson Sq駅まで地下鉄を利用し、そこからホワイトハウス→リンカーン記念堂→ワシントン記念塔→スミソニアン歴史博物館→スミソニアン航空宇宙博物館→国会議事堂→ユニオン駅と、
徒歩で巡った。
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歩いたその距離、あとでスマホで確認したら17.7km。椎間板ヘルニア手術後8週間の身として、これはちょっときつかったぁ。5年前のホワイトハウスは何かのイベントで通行規制され遠くからしか眺められなかった。今回もフェンスが一部工事中でちゃんと眺められず残念。

ユニオン駅からNYペンシルベニア駅まではアムトラックを利用し3時間ちょっと。そういえば5年前、ジョージア州アトランタからワシントンまでが夜行のアムトラックでの移動だった。これでアトランタからNYまで鉄道に乗ったことになる。
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NY到着午後8時ちょい前。まだ早い。ペンシルベニア駅からエンパイア・ステート・ビルまで、徒歩で行ってみる。5年前来たときは、展望台まで2~3時間かけて並んだ記憶がある。どうせ無理だろうと行ってみたら、これがガラガラ。受付で尋ねると「5分で上まで行けるぜ」。スイスイと展望台へ。
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マンハッタンの夜はまだ続く。10時半から開演のブルーノートへ。ケニー・ギャレットのアルトサックスを聴く。私はあまり知らなくて、これは同行のAさん推薦。「サウンド・オブ・ミュージック」の中の3拍子の曲「私のお気に入り」を5拍子で演奏していて、これだけが知っている曲だった。
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ブラジルから来たという2組の夫婦と同じテーブルになった。思わず「エステ サンバ ケミッシュレマレカトゥ ・・・」と、マシュケナダの一節を唄ったらけっこう受けたねぇ。
お互いが片言の英語を交わしながら、アントニオ・カルロス・ジョビンやジーコの名前で盛り上がりました。

タクシーでホテルに帰ったのが1時過ぎ。朝の5時から深夜の1時まで。70歳近いオッサンの行動とはとても思えない。マンハッタンの夜は眠らせてくれまっしぇん。

NYのニューアーク空港に予定より早く16時前に到着。タクシーでマンハッタンのホテルへ(渋滞で1時間ほどかかった。その後タクシーを何回も利用したがいつも渋滞という印象だった)。ホテル近くのダイナーで夕食。賑わうマンハッタンの夜を散策。

翌日、観光初日。まずは9.11メモリアル・ミュージアムから。2001年の同時多発テロの様子が詳細に展示されていて胸が傷む。あまりに生々しいところは、撮影禁止になっていた。あらためて、なんちゅうことをしてくれたんだと、怒りが湧いてくる。
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5年前は船の上から眺めた自由の女神。今回はリバティ島に上陸して、彼女が立つ台座まで(エレベーターで)上った。あらかじめネットでチケットを取っていたので、長蛇の列を横目に、セキュリティチェックもすんなり通れた。ネットではパスポートが必要という記事を見ていたので用意していったが必要なかった。
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夕方からはマンハッタンで評判になっているそうなバスから眺める路上パフォーマンス「THE RIDE」に乗車。黒人男女ふたりのMCと路上のパフォーマーと乗客の掛け合いで笑いがどっと起こるのだけれど、残念ながら一緒に笑えないのが情けない。最後に全員で合唱したシナトラの「New York、New York」は一緒に歌えて感動しました。

それから夕食、マンハッタンの夜をぶらぶら。ホテルに帰ったのが12時ころ。明日は早いのに、マンハッタンの夜は眠らせてくれません。

5泊7日のニューヨーク観光を無事終えて、一昨日の深夜に帰宅した。まだ時差ボケが解消されていないようだし、スーツケースの荷物も整理しきれていない。どうせヒマなんだし、ゆっくりやろう。

旅行中には、毎日小欄を更新しようとiPadを持参したのだが、ホテルに帰るのがいつも深夜になってしまい、そんな余裕はまったくなかった。

今回の旅行は、仙台市在住のAさんご夫婦とご一緒した。A夫妻とは3年前のキューバからスタートした西カリブ海のクルーズで知り合いになった。これまでこういった、いわゆる団体旅行を通して仲良くなった方々はけっこういたし、次も一緒に行けたらいいね、といった社交辞令も交わしたことはあるけれど、それが実現したのはA夫妻とだけである。

A夫妻とは昨年も南仏旅行をご一緒した。次もどこかご一緒しようということになり、アメリカ本土を目的地に定め、昨年からあっちこっちと計画を練っていた。そんな中で、H.I.S.からニューヨーク5泊7日、燃油サーチャージ込みで、116,800円のツアーが販売されていて思わず飛びついた。

飛行機とホテルだけを押さえただけの、あとはフリーのツアーで、個人で飛行機やホテルを予約するよりアホみたいに安い。探していたのはこういうのである。

AさんとLINEで連絡をとりながら、滞在中のスケジュールを計画し、自由の女神へのフェリー、ワシントン日帰りの交通手段、ミュージカル、ジャズライブなどを、Aさんと分担しながら事前にネットから予約した。こういった準備段階もすでに旅行の楽しみである。しかし、なんとも便利になったものである。10年前には考えられない。

ということで、雑感を交えながらニューヨークでの模様を綴りたい。

椎間板ヘルニアの手術から7週間。
足腰の調子はもうひとつだけれど、いつまでも家で燻ぶっていてはいかんのだ。
スーツケースはちょっと重いけど、念のためにコルセットを着けて、
いざ 出発だ。

今は こんな感じの シナトラ 気分

Start spreading the news               さて みなさんにお知らせ
I’m leaving today                            オレは今日 旅に出るよ
I want to be a part of it                   あそこに行きたいんだ
New York, New York                      ニューヨーク

These vagabond shoes                 気ままなこの靴も
Are longing to stray                       さまよいたがっている
Right through the very heart of it   まさに あのど真ん中へ
New York, New York                      ニューヨーク


“「T2」の正統な続編にして、新たなる伝説”といわれたら、それ以降に制作された映画はいったい何だったんだ。まるで味噌煮込みうどんの「山本屋本店」と「山本屋総本家」みたいや。ヒロタのシュークリームも・・・と思いながら、これまで楽しませてもらった義理もあり、「ターミネーター:ニュー・フェイト」見てきました。

確かに1作目「ターミネーター(1984年)」、2作目「ターミネーター2(1991年)」はよーく覚えているのに、そのあとに作られた3作は(痴呆症の兆候なのか)よく覚えていない。いかにこの2作が強烈で、おもしろい作品だったかということなんでしょう。
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物語は「T2」」から28年後の世界が描かれるのだが、プロローグとして、「T2」直後のシーンがちょっとだけ出てくる。そのシーンのサラ・コナー(リンダ・ハミルトン)、ターミネーター(シュワルツェネッガー)、ジョン・コナー(エドワード・ファーロング??)が「T2」当時そのままの若さで出てくる。どうやって撮ったんだろうとワクワクした。

先日「ジェミニマン」で若いウィル・スミスを見たこともあり、その映像技術に改めて感心させられたばかりである。このプロローグシーンだけでも、もう一度見てみたい。映画の可能性はまだまだありそうだ。

さて話の展開はというと、「T2」と同じパターンやないの。取って付けたような話の持っていき方に、そりゃあないでしょうと思ってしまうところだが、そこはさすがに“「T2」の正統な続編”である。まったく関係ないが、私の味噌煮込みうどんは「山本屋本店」派である。

元ジェームズ・キャメロンの奥さんで、貫禄の年増となったリンダ・ハミルトンと、ロボットのくせして、どういうわけかけっこうハゲ上がり、老け込んでしまったシュワルツェネッガーも頑張っていた。それに、未来から来た戦士グレース(マッケンジー・デイヴィス)もナカナカの好演だった。

ということで、これが本家・元祖ターミネーターといわれたら、取って付けたような話の展開も許してしまうのだ。が、しかし、やっぱり、「T2」は越えられない。
あ~ 味噌煮込みうどん 喰いたい。

「アラジン」で久しぶりに健在なところを見せてくれたウィル・スミスの「ジェミニマン」見てきました。ストーリーとしてはよくあるような展開だったけれども、なんといっても若い役で出てくるウィル・スミスが上手に作ってあること。その上手さに感心して、最後まで引っ張られました。
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雑誌スクリーン12月号の解説によると、51歳のウィル・スミスが演じた顔の動きをコンピュータに取り込み(これをモーションキャプチャーというそうで)23歳の若いウィル・スミスをCGで再現したというもの。その若いほうのウィル・スミスの違和感のないこと。

監督がアン・リーで、この人「ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日」でトラをCGで作り出している。あのトラはどうみても本物に見えた。こっちのウィル・スミスもどうみても本物のような・・・。

もう、ここまでやられると「どうせ CG でしょ」とバカにするというより、「恐れ入りました」だわな。良し悪しは別にして、映像の世界はここまで来たかという感じである。さらに雑誌スクリーンの解説によると、この作品は1秒間のフレーム数を通常の2.5倍にして、明るく鮮明な3D映像にしたというが、これには全く興味はなし。

共演の女優がナカナカ良くて、どこかで見たと思ったら「ダイ・ハード4.0」でブルース・ウィリスの娘ルーシー・マクレーン役を演じたメアリー・エリザベス・ウィンステッドだった。演技も上手くなっていて、まったく印象が違っていた。私の好きなクライヴ・オーウェンがこんな役で出てくるとは、ちょっと残念で勿体なかった。

殺し屋の世界を描くわけだから、結末もそれなりに非情なものになるのだろうと予想しながらみていたら、これがハッピーエンド。ちょっと甘いような気もするが、後味が悪いよりはいいのかも。

さて次は、これまでの義理で「ターミネーター」か。

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