メル・ギブソンの10年前の監督作「アポカリプト」も22年前の「ブレイブハート」も好きな作品で、その彼が監督した戦争映画となれば、これはもう見ないといけない。で、「ハクソー・リッジ」見てきました。
ドンパチがすぐ始まるかと期待していたらそうでもなかった。第一次大戦に従軍し、心に傷を負った父親との確執を通して、主人公がたとえ戦争でも、なぜ“ひとを殺さない”信条を持つに至ったか、そして伴侶となる女性との出会いなどが描かれる。
この前半がいい。特に主人公が、たまたま立ち寄った病院で看護師にひと目惚れし、恋に落ちるシーンがたまらなく良かった。この看護師(テレサ・パーマー)の魅力的なこと。この人「X-ミッション」で見ているはずなのに、まったく印象が薄く記憶になかった。
そういえば「ブレイブハート」のヒロイン、キャサリン・マコーマックも実物以上に魅力的に映っていた。どうやらメル・ギブソンは女性を(それ以上に)魅せる感性を持っているのかもしれない。伝え聞くところの、彼のあまり良くない私生活での振る舞いからは想像もできない。
そしていよいよドンパチの始まり。ひたひたと迫る米兵に、日本兵の凄まじい攻撃が突然、まさしく突然、始まる。この静から動への突入も上手かった。メル・ギブソンはこういう感性も持っているんだ。ドンパチの臨場感に圧倒された。
スピルバーグ「プライベート・ライアン」の戦闘シーンの凄まじさには驚かされたが、あれから19年。映像・音響技術はさらに確実に進んでいることを実感する。戦場がたまたま沖縄ではあったが、描きたかったのは主人公の生き様。<沖縄>も<日本兵>も前面に出てこなかったのは正解。日本兵の描き方も無難で、特に違和感はなかった。
主人公のアンドルー・ガーフィールドはナヨナヨの「スパイダーマン」から清々しく変身してチョット見直した。脇を固めたヒューゴ・ウィーヴィング、ヴィンス・ヴォーン、サム・ワーシントンも悪くなかった。
ということで、メル・ギブソンの監督三部作は、1位「ブレイブハート」。2位「ハクソー・リッジ」、3位「アポカリプト」。これで決まりだ。