シヌマDEシネマ/ハリー東森

2017年06月

メル・ギブソンの10年前の監督作「アポカリプト」も22年前の「ブレイブハート」も好きな作品で、その彼が監督した戦争映画となれば、これはもう見ないといけない。で、「ハクソー・リッジ」見てきました。
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第二次大戦の兵役に衛生兵として志願し、“汝ひとを殺すなかれ”の信条を貫き、銃を手にしなかったことで良心的兵役拒否者という烙印を受けたにもかかわらず、それでもなお衛生兵として従軍した主人公の話。

ドンパチがすぐ始まるかと期待していたらそうでもなかった。第一次大戦に従軍し、心に傷を負った父親との確執を通して、主人公がたとえ戦争でも、なぜ“ひとを殺さない”信条を持つに至ったか、そして伴侶となる女性との出会いなどが描かれる。

この前半がいい。特に主人公が、たまたま立ち寄った病院で看護師にひと目惚れし、恋に落ちるシーンがたまらなく良かった。この看護師(テレサ・パーマー)の魅力的なこと。この人「X-ミッション」で見ているはずなのに、まったく印象が薄く記憶になかった。

そういえば「ブレイブハート」のヒロイン、キャサリン・マコーマックも実物以上に魅力的に映っていた。どうやらメル・ギブソンは女性を(それ以上に)魅せる感性を持っているのかもしれない。伝え聞くところの、彼のあまり良くない私生活での振る舞いからは想像もできない。

そしていよいよドンパチの始まり。ひたひたと迫る米兵に、日本兵の凄まじい攻撃が突然、まさしく突然、始まる。この静から動への突入も上手かった。メル・ギブソンはこういう感性も持っているんだ。ドンパチの臨場感に圧倒された。

スピルバーグ「プライベート・ライアン」の戦闘シーンの凄まじさには驚かされたが、あれから19年。映像・音響技術はさらに確実に進んでいることを実感する。戦場がたまたま沖縄ではあったが、描きたかったのは主人公の生き様。<沖縄>も<日本兵>も前面に出てこなかったのは正解。日本兵の描き方も無難で、特に違和感はなかった。

主人公のアンドルー・ガーフィールドはナヨナヨの「スパイダーマン」から清々しく変身してチョット見直した。脇を固めたヒューゴ・ウィーヴィング、ヴィンス・ヴォーン、サム・ワーシントンも悪くなかった。

ということで、メル・ギブソンの監督三部作は、1位「ブレイブハート」。2位「ハクソー・リッジ」、3位「アポカリプト」。これで決まりだ。

所用で梅田に出たついでに映画を見てきました。おっと、映画に対して“ついでに”は失礼でした。見たのは「パトリオット・デイ」。2013年4月に起きたボストンマラソンでの爆弾テロ事件の顛末を描いた作品。
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我が国でも詳しく報道されたこの事件。記憶もまだ鮮明に残っており、罪のない人たちを無差別に傷つけるテロ行為に、あらためて憤りを感じた。映画のほうは、当時の実際の映像を織り交ぜながら、ドキュメンタリーのように描かれていく。

その描き方は、映画的な派手さも誇張もしていないはずなのに、事が事だけに臨場感がヒリヒリと迫ってくる。主演がマーク・ウォルバーグではあるが前面に出しゃばらず、事件に関わったひとりの警察官として扱われていたのも好感が持てた。

つまり、テロを実行した犯人、その犯人を追い詰める警察官やFBIだけでなく、その被害者や事件に関わらざるを得なかった人たちそれぞれの様子が、事件が起こる前から事件の最中、事件の後と、簡潔かつ丁寧に描かれていて、人間群像ドラマとしても見ごたえがあった。このあたりは脚本の進行が巧みで上手かった。

その脚本・監督がピーター・バーグで、「バトルシップ」や「ハンコック」の監督もしているが、「キングダム/見えざる敵」(2007年)これが良かった。先日まで公開していた「バーニング・オーシャン」も見とけばよかったぁ。

宣伝チラシのキャッチコピーが“語り継がれるのは<悲劇>ではなく、<希望>”。まさしくそんな作品だった。エンドロールで、それまで登場してきた人物たちご本人の映像が流れてきて、思わずホロリとしてしまった。

“テロには屈しない”と言葉では聞くものの、その具体的な回答をこの作品で見たような、そんな気がした。ボストン市民は涙と感動でこの作品を見たんだろうなぁ。

ちなみにウィキペディアによると「パトリオット・デイ」とは、舞台となったボストンがあるマサチューセッツ州のほか、メイン州、ウィスコンシン州の3州で制定されている祝日、愛国者の日のこと。アメリカ独立戦争の緒戦となった1775年4月19日のレキシントン・コンコードの戦いを記念したもの。4月の第3月曜日に設定されていて、ボストンマラソンが開催される日でもあるとのこと。勉強になりました。

もう1本、帰りの機内で鑑賞したのが7月7日公開の「ジョン・ウィック:チャプター2」。この作品は映画館に足を運ぶつもりでいたが、目の前にあるモニターで、公開前に、タダで見られるという誘惑に負けてしまった。

タイトルの チャプター2 の通り、前作からの話の続き。安っぽいアクション映画のタッチや、笑えてしまう殺し屋世界のルール、悪い奴らがバッタバッタとやられまくるのは前作とまったく同じ。まったく同じなのに、やっぱり面白い。こういうの、嫌いではない。

往年のマカロニ・ウエスタンのスター、フランコ・ネロは懐かしかった。たしか「ダイ・ハード2」以来久しぶりに見たはずだ。そうだローレンス・フィッシュバーンも出ていた。この人、「マトリックス」ではキアヌ・リーブスと師弟関係だったんだ。
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前回はちょっとモタついたようなアクションで心配したキアヌ・リーブスも、その道の師であるローレンス・フィッシュバーンとの共演でキレが戻ったようだ。この9月には53歳になるそうだが、とてもそんな歳には見えない。

物語のほうはというと、悪いヤツらをやっつけて一件落着と思いきや、さらにジョン・ウィックに危機が迫り、万事休すといったところで終わってしまった。こうなると チャプター3 を見ないとしょうがないやん。

現在公開中の「LOGAN/ローガン」を、ホノルルからの帰りの機内で鑑賞。座席の背面に設置されているモニターはiPad並みに大きくなって見やすくなったし、タッチ方式で操作も楽になり、これまで敬遠していた映画鑑賞もそれなりに楽しめるようになった。
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さて本作は「X-MEN」シリーズ、ウルヴァリンのローガン(ヒュー・ジャックマン)とプロフェッサーのチャールズ(パトリック・スチュアート)がオトシマエをつけてくれる。つまりは高齢化社会にふさわしく、ローガンとプロフェッサーの“終活”が描かれる。

それにしても、上品で知的だったプロフェッサーの、こんなに落ちぶれた姿は見たくなかった。哀れでしかたない。

ふたりが悪人に追われている少女を助けてホテルに身を隠すシーンがあり、部屋のテレビでは「シェーン」が放映されてた。その「シェーン」でこの物語のこれからの展開と結末がなんとなく見えてきた。(その「シェーン」の映像だけで、思わず涙してしまった)

本作の味付けは「マッドマックス」の世紀末のような感じだったし、「ターミネーター」風似たモノが登場したりと、これまでの作品のあれこれが浮かんで、特に目新しさはなかった。「X-MEN」シリーズも未来にいったり過去に戻ったりと、ややこしくてこんがらかってしまったが、もうこれで終わりなんでしょうかねぇ。

機内で鑑賞した映画がもう1本。これは次回に。

一昨日の夜に帰ってきました。マウイ島のカアナパリ地区に3泊、ホノルルに10泊の13泊15日と、これまででいちばん長いハワイ滞在となった。まだ向こうに居るような感覚が抜けていない。

のんびりしたマウイ島に比べ、ワイキキの辺りは相変わらずの人ごみと喧騒で、まるで渋谷にいるようで最初はちょっと戸惑った。昨年工事中だったインターナショナル・マーケット・プレイスはオープンしていたし、アラモアナ・ショッピングセンターはさらに大きくなって、周辺はいまだに工事中だった。

アラモアナ・ショッピングセンターは「ちょっと、ひと回りしてみようか」というレベルの広さではなくなってしまった。それと雰囲気の良く似たインターナショナル・マーケット・プレイスがワイキキの中心にできても、まったく魅力を感じない。

画像はそのインターナショナル・マーケット・プレイス。左上から昔の正面入り口の様子。と、右上が解体された後、左下が工事中、それと現在の正面入り口。露天の店が奥まで続いていて、ちょっとアブナそうではあったけれど、昔のほうがずっと良かった。
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これも歳のせいかもしれず、我が国や韓国の若い男女は、そんなハワイを存分に楽しんでいるように見えた。

一方で、アロハタワーのあるホノルル港のお店は、ほとんどが閉まっていて閑散としていた。旅客機の無い時代にはさぞかし繁栄していただろうと思うと、なんとも寂しい。古き良きハワイをワイキキ周辺に求めるのはもう無理なんでしょう。以下の画像は3月に購入したデジカメから。ナカナカ使いこなせない。

マウイ島で宿泊したホテル カアナパリ・エルドラドの庭で撮影したプルメリア越しの星空(フジ X100F 絞りF4.0 シャッタースピード 15秒 ISO 3200)
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同じ場所から(絞りF4.0 シャッタースピード 4秒 ISO 3200)
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オアフ島のカイオナ・ビーチ(絞りF5.6 シャッタースピードAUTO 1/2700秒 ISO 200)
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ワイキキ・ビーチの花火を宿泊していたホテル ロイヤル・クヒオのベランダから撮影(絞りF5.6 シャッタースピード 4秒 ISO 200)
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ホノルルのカイムキ地区で遊ぶ少年 声をかけたら応えてくれました(絞りF5.6 シャッタースピードAUTO 1/640秒 ISO 200)
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アロハスタジアムのフリーマーケットのお店のおばさん カメラを向けたら笑ってくれました(絞りF5.6 シャッタースピードAUTO 1/56秒 ISO 200)
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明け方4時頃の雲に隠れた満月(絞りF4.5 シャッタースピード 9秒 ISO 200)
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先週の月曜日に日本を発って、マウイ島のカアナパリ地区に3泊、ホノルルに4泊の8日目。今日は朝の散歩だけでホテルから出ることなく、部屋で本を読んだり、夕食のカレーを作ったり、こうしてパソコンに向かったりと、ゆったりした時間を過ごしている。

今回マウイ島へは初めて行った。ラハイナの町しかゆっくりできなかったが、のんびりした良い所だった。旅行というのは、その旅先の印象がふたつに分かれる。ひとつは一度行ったことで気が済むところと、もうひとつはまた行きたくなるところ。

その昔、新婚旅行で行ったカウアイ島も、12年前に行ったハワイ島も、もう一度行きたいとはあまり積極的に思わない。が、マウイ島はもう一度行きたい。そんなところだった。

あと数日、ホノルルに滞在します。

画像はラハイナの町
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ハレアカラ山の星空鑑賞ツアーに参加。最近購入したデジカメで星空撮影に挑戦。
左の画像、中央下で縦長の菱形で4つ光るのが南十字星
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