シヌマDEシネマ/ハリー東森

2015年07月

昨夜、30年ほど前に職場で一緒だった仲間たちとの飲み会があった。10人ほどの集まりで、私のようにリタイアした人たちが半数、現役が半数。現役の彼らは当時まだ入社間もないいわゆる、ひよっ子だった。今や組織の幹部・中堅になっている。

あの頃は週に一度、二度と、ミナミやキタに繰り出しては呑み歩いていた。呑めない私も一緒につるんで徘徊していた。取引会社からの“ご接待”も多かった。それが当たり前のような時代だった。いま思えばあれがバブルだったんでしょう。当時はそんな自覚なんかなかった。

最近の職場の話になる。組織がこんなに大きく変わりました。勤務体制がこんな風になりました。とか聞いても「へーえ。ふーん」としか言いようがない。縁が切れた私には、もう「そんなの関係ない」のだ。

賞与の話が出た。この夏のボーナスは過去最高を記録して、こんなんでした。などと聞くと「羨ましい!」と妬んでしまう。年金生活者として何が淋しいかというと、当たり前のようにもらっていた、夏・冬のボーナスが当たり前だが出ないということで、あれはやっぱりサラリーマンの特典だった。

リタイア後、経済的に大きな憂いもなく、なんとか生活できるのは、公的年金と共に受給している企業年金の恩恵が大きい。そういう意味で、現役で働く彼らの頑張りが企業を存続させ、ひいては我が身の安定につながるということで、現役の彼らにエールを送った一夜でした。

1984年制作の「ターミネーター」以来、2作目以降もリアルタイムで見てきた者としては、やっぱりこれは見ておきたい。で、シリーズ5作目となる「ターミネーター:新起動/ジェニシス」見てきました。あまり期待はしていなかったけれど、やっぱりというか、予想以上にガッカリの作品でした。

アクション映画にも、あー面白かった。で済まされる(たいていはコレにあてはまる)作品と、そういうわけにはいかない作品がある。と思っている。先日の「マッドマックス」はまさしく単純な理屈抜きで面白い、前者の作品だった。

しかし「ターミネーター」は後者でないといけない。このシリーズの1作目、2作目には、あー面白かった、だけではない、時空を超えた物語性があった。そこにアクションだけではない面白さがあった。残念ながら今作はこのシリーズを通しての“過去を変えれば未来も変わる”という基本的なテーマが無視されたようで、ストーリーにまったく説得力が無かった。

その説得力が無かったところは具体的に後述するとして、よくもまぁこの脚本で映画化に踏み切れたものだと呆れてしまう。数多く印刷されている宣伝用チラシのひとつにこんな文章が掲載されていた。

  期待を遥かに超える大どんでん返し。
  必見の作品だ!!
      ジェームズ・キャメロン

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大どんでん返しとは一体何だったのか教えて欲しい。さっぱり思い当たらない。シリーズ1作目、2作目の監督・脚本の彼が、本気でこんな言葉を発したとしたら、もうガッカリの極みだ。

一昨日、2020年開催の東京五輪に向けた新国立競技場建設問題で、安倍首相が白紙に戻して再検討の方針を打ち出した。この作品も“新起動”を白紙に戻し“再起動”したほうがいいと思うんだけれど・・・。

ちょっと長くなりますが、その説得力が無かったところを述べたい。これから鑑賞する方は、ここから先は読まないほうがよろしいかと・・・。

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今作の話は、サラ・コナーが9歳のときに、彼女を守るためターミネーターが現れたことが発端となっている。いつ、誰が、なぜ、9歳の彼女の元にターミネーターを送ったのか。これは物語の重要なポイントである。別の時間軸が存在したその経緯が、いつ明かされるのかと期待したが最後までアヤフヤのままだった。話はちゃんとスジを通さないといけない。物語性で魅せた1作目、2作目が泣きますよ。

サラと、未来から来たカイルの間に、未来の戦士ジョンが誕生するというのがシリーズ1作目の泣かせどころだった。今作でもターミネーターが“合体合体”と何度もサラに働きかけたものの、ふたりは“合体”することなく1984年から2017年にタイムスリップしてしまう。この段階でジョンは生まれていない。ということは、冒頭の2029年のジョンは存在しないことになる。もし存在したとしてもまだ子供のはず。そのジョンが悪役になって2017年に現れるというのもツジツマが合わない。

上記のようなことを疑問に感じながら見ていたものだから、まったく映画の中に入り込めず、シラけたまま見終わってしまった。タイムスリップものは、考えれば考えるほどこんがらかってややこしいけれど、これだけ納得のいかないタイムスリップものもめずらしい。

唯一の救いは、老ターミネーターが発するオヤジギャグでクスッと笑えたくらいか。シュワルツェネッガーのお笑いネタが救いとは、なんとも淋しい。やっぱり白紙に戻して“再起動”だ。

宣伝用チラシには以下の文章がハデに踊っている。

  犯罪など存在しないこの世の楽園で、
  44人の子供の変死体が発見される。
  共通の しるし をのこして・・・。
  スターリン政権下のソ連の内幕を暴き、
  ロシアでは発禁本となった全世界震撼の
  問題作。

相変わらずオーバーな宣伝文句で“全世界震撼”は言い過ぎでしょう。全世界が震撼したその様子を、具体的に教えて欲しいねぇ。それでも“スターリン政権下のソ連の内幕を暴き・・・”に惹かれて、「チャイルド44 森に消えた子供たち」見てきました。

スターリンの独裁政権下で、子供だけを対象にした連続殺人事件を解いていくミステリーというのを期待したのだけれど、その部分は空振りで弱かった。それでも、第二次大戦後の冷戦時代、いわゆる“鉄のカーテン”の向こう側の世界がどんなものだったかが、興味深く描かれていた。

映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』予告編
YouTube: 映画『チャイルド44 森に消えた子供たち』予告編

つまりは連続殺人事件を通して、ソビエト連邦が行った恐怖政治を描きたかったのでしょう。作品として良くできていました。民衆を常に監視する国。疑わしきは厳しく罰する国。粛清と密告が蔓延する国。普通の人間が普通に生きられない国・・・。恐い恐い。

話は少し変わるが、今朝(7月15日付)の読売新聞の国際面に、「北、軍幹部らを銃殺」という見出しで、以下の記事が掲載されていた。

“韓国の情報機関・国家情報院は14日、4月に粛清された北朝鮮の玄永哲(ヒョンヨンチョル)・前人民武力相(国防相)に近い軍幹部らが、金正恩(キムジョンウン)第1書記の独裁に不満を抱いているとの理由で銃殺されたと確認したことを国会情報委員会に報告した。(以下略)”

今でもこういう国家があるわけで、あぁ我が国は平和でいいなぁと、つくづく思う次第であります。

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話を戻して、「マッドマックス」では寡黙でタフな男を演じたトム・ハーディが、ここでも朴訥とした役を演じていた。朴訥すぎて上手いのか下手なのかよく分からない。ノオミ・ラパスは芯の強いロシア女を演じて、「プロメテウス」や「シャーロック・ホームズ」より印象的でした。

リメイク版「ロボコップ」を演じたジョエル・キナマンのアブナイ悪役はけっこうハマッていた。「ラン・オールナイト」でもまったく影が薄かったから、この人は悪役のほうが似合うんでしょう。

気になったのが言葉。舞台がソ連なのに登場人物は英語で会話する。英語なのは致し方ないとして、これが妙に訛っている。ロシアの雰囲気を出したいんでしょう。英語圏でない外国を舞台にしたハリウッド製映画にはこういうのが時々あるが、そこまでしなくてもいいのにと思うのだが・・・。

さて次は、やっぱり「ターミネーター」だな。

この週末は毎月1回やっているバンドの練習で、名古屋に行っていました。行くたびに山本屋本店の味噌煮込みうどんを食べている。これが楽しみで、近鉄電車を利用するときは名古屋駅地下街ユニモールの駅前店へ(新幹線側の地下街エスカ店はいつも混んでいるので避けている)。車で行ったときは名鉄小幡駅近くの守山店を利用している。

思えば18歳のときに名古屋を出てからほぼ半世紀。あの頃から味噌煮込みうどんはあったんだろうか。あの頃の私は、味噌煮込みうどんはもちろん、味噌カツも、ひつまぶしも、エビフリャアも知らなかった。覚えているのは、きしめんと ういろ・ないろ くらいだった。

あの頃、我が家は相当に貧乏だった。特に子供の頃の記憶には、家ではもちろん、外でうまいもんを喰った覚えがまったくない。つまりは私だけが知らなかったのかもしれない。もっともあの頃は、我が国のほとんどの所帯が貧しかった。翻って、今の我が国の生活はなんと豊かになったことか。

ところがこのところの報道で、生活が苦しいと感じている世帯が6割を超えているそうだ。本当に苦しいんだろうかねぇ。ブランド物を身につけて、スマホをいじりながら、ひつまぶしを食べるから苦しいんだ。日本人は贅沢に成りすぎた。慣れすぎた。

話を戻して味噌煮込みうどん。このところ名古屋近郊のK市に住まう母親の入院があったり、退院後の様子を見たりと、毎週のように名古屋に行って、毎週のように味噌煮込みうどんを喰っている。

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さすがにやや飽きてきた。と感じながらも、やっぱりごはんをお代りしてしまった。また次も味噌煮込みうどんを喰いそうで、チョット贅沢に成りすぎているなぁと反省している ハリー東森 でした。

第二子出産のために実家(つまり我が家)に2ヵ月半も長期滞在していた娘が漸くのこと引き取ってくれて、久しぶりに我が家に平安が訪れた。新生児の次男はおぎゃあおぎゃあと、2歳になる長男はちょこまかと、まぁ五月蝿かったこと。

孫というものはどういうわけか可愛くてたまらないけれど、たまに来るからたまらなく可愛いのであって、四六時中一緒にいると、まぁ疲れる疲れる。それでも毎日少しずつ成長していくのを見守るのは楽しい。その分、自分が老いていくのだ。そう思うとなんともツラい。

我が家に平安が訪れたことだし、楽しみにしていたバルト三国方面の旅行もキャンセルしたし、であれば名古屋近郊の春日井市に住まう、退院したばかりの母親を見舞いがてら温泉へと、勝手な口実を作って飛騨方面へ2泊3日の温泉めぐりへ。

一泊目は古川温泉、二泊目は平湯温泉と久しぶりにのんびりしてきました。

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海外旅行保険のオプションに「旅行変更費用担保特約」というのがある。私の周りには海外旅行を何度も経験しているのに、これを知らない人がけっこう多い。

「旅行変更費用担保特約」とは、

  A. 急な事情によって、出国前に海外旅行をキャンセル
    した場合にかかる費用に備えたい。
  B. 旅行の途中で、急な事情によって、帰国した場合に
    かかる費用に備えたい。

といった際に助かる保険で、通常の海外旅行保険に付加できるもの。

この“急な事情”には、本人もしくは同行者や親族の不幸、病気・ケガなど、細かな条件はあるが、例えば旅行期間10日間、保険金額30万円に対し、掛金が930円とそんなに高くない。(以上は、今回加入した東京海上日動のパンフレットから)ただし、これまでの経験上、海外旅行保険の案内にはこの記載が無く、別途申し出をしないと対応してくれない場合が多い。

今回、事情があって予定していたバルト三国方面のツアーをキャンセルしたが、この「旅行変更費用担保特約」が役に立ち、キャンセル料がこの保険金で賄われる。キャンセル料が発生するタイミングは、旅行会社や旅行形態、シーズンによって異なるが、たとえ10%、20%のキャンセル料でも、金額が大きいだけにバカにならない。

さて話は少し遡る。そのツアーに参加すべく海外旅行参加申込書を記入した際に、気になったことがある。その申込書には海外旅行保険を申し込むか否かの欄があるのだが、この「旅行変更費用担保特約」が標準で付いていた。昨年夏の英国旅行の際の申込書には、同じツアー会社でありながら付いていなかった。

ただし、“中途帰国費用のみ”となっていて(前述のBのケース)、Aの出発前のキャンセルは対象になっていない。これに引っかかった。

計画していた旅行を事情によって止めなければならないのは、旅行中であろうが旅行前であろうが同じである。かえって旅行前のほうがキャンセルの踏ん切りがつきやすい。従って、旅行中の帰国だけでなく、旅行前も補償してほしいのが人情である。どうやらここに旅行会社の思惑を感じた。

この「旅行変更費用担保特約」は、テロなど不測の事態で(細かな条件はあるが)ツアーが正常に催行されなかった場合も補償の対象になっている。テロだけでなく、東南アジアの某空港が反政府デモ隊に占拠されて長期間閉鎖されたり、北ヨーロッパの某火山の噴煙で多数の飛行機が飛べなかったりした際も、有効になると思われる。

旅行会社はそのような事態に備えて保険をかけているとは思うが、ツアー客にも負担をしてもらおうという意図を感じる。であれば、この特約の主旨をちゃんと説明し、旅行中だけを対象にするのでなく、旅行前も含めてツアー客に勧めるのが本来のサービスであろうし、ぜひそうして欲しい。

そんなことを、今回この保険を申し込む際、窓口の担当者に散々言ってみたものの、今のところはどうしようもない。まぁこのあたりはこれから改善されていくんでしょう。

ということで、海外旅行の際のワンポイント・アドバイスでした。

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