シヌマDEシネマ/ハリー東森

2015年06月

昨夜、日本テレビ系で放映されていた「アベンジャーズ」を見ていたら、ブラック・ウィドウ役のスカーレット・ヨハンソンの日本語吹き替えに、なんだか違和感があって、どうもシロウト臭い。dボタンでキャストを確認したら米倉涼子だった。

そうかぁ、米倉涼子はこんな声だったのか。俳優としての実績は買うけれど、声優としてはまったく宜しくない。スカーレット・ヨハンソンの魅力が台無しになってしまった。サミュエル・L・ジャクソンの声は竹中直人がやっていて、こっちは違和感がなかった。

つまりは、必ずしも“俳優=声優”ではないということでしょう。プロの声優がいるんだから、プロに任せたらいいんだ。このところ外国映画の日本語吹き替えに、人気の俳優やお笑い芸人を当てて、話題作りで集客を狙うケースが目につく。興行的には有効かも知れないが、それで作品のクオリティを下げてはいけない。

それと、昨夜の「アベンジャーズ」では、画面が唐突に切り替わったり、一昨年WOWOWで鑑賞した記憶にあるシーンが出てこなかったりと、これも違和感があった。調べてみたらこの作品の上映時間が144分なので納得した。放送時間2時間弱のうちCMを除いた正味上映時間は95分前後でしょう。つまりは50分近く、45分以上がカットされているわけだ。

全体の3割も見せてくれない映画。これでは作品として成立しない。もうすぐ公開される「アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン」も映画館まで足を運ぶつもりはなく、特に「アベンジャーズ」に肩入れしているわけではないけれど、これでは作品が可哀想だ。

小欄で繰り返し述べているが、レンタルビデオも、有料放送も、ネットも無かったその昔。民放で放映される映画を有り難く鑑賞していた時代ならいざ知らず、民放で放映されるカットしまくりの映画の役目はもう終わったと思いたい。視聴率がそこそこ取れてしまうからいけないんでしょう。

今年70歳だそうなジョージ・ミラーは、34歳のときに撮った「マッドマックス」(1979年)が好きなんだろうなぁ。最新の映像・音響技術でもう一度撮りたかったんだろうなぁ。そんな一途な思いが伝わってきて、いやー面白かった。

細かなストーリーや時代背景、人物描写なんぞはどうでもいい。許してしまおう。Madな男女が、荒野を怒涛のように疾走する迫力に圧倒されて、そんなことはどうでもよくなってしまった。ジメジメと不快な梅雨どきの鬱陶しさも、吹っ飛んでしまったわい。やっぱり私も「マッドマックス」が好きなんだなぁ。

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シャーリーズ・セロンがいい。坊主頭で荒くれ女を演じても、美しさは隠せない。トム・ハーディもいい。出しゃばらないのがいい。「ダークナイト ライジング」の悪役はあんまり目立たなかったが、「欲望のバージニア」で見せたような、寡黙でタフな男がよく似合う。

まだまだ述べたいことはあるけれど、理屈抜きで楽しんだ作品に、ああだこうだと難癖をつけてもしかたない。あー面白かったで、あとはなーんにも残らないが、これも映画。ジョージ・ミラー監督に拍手。そうだ、初代マックス メル・ギブソンにも拍手。

次は、これもトム・ハーディの「チャイルド44」にしよう。

先月末のことになる。名古屋近郊K市に住まう母親が、心不全の疑いで市民病院に入院したと、姉から携帯にメールが届いた。身体が衰弱し足首がパンパンに腫れていたため救急車で運ばれ、前述の心不全の疑いで即入院となったとのこと。

病名はうっ血性心不全。肺に水が溜まっていて危険な状態だったらしい。翌々日、病院へ行ったときは寝たきりだったが、その後回復し先日退院した。この10月が来ると94歳になる。私とは30歳離れている。

この春先からめっきり衰えが目立ってきてはいた。それまでは大抵の事は自分で出来ていたのに、立ったままでいるのがシンドイと言って、自炊ができなくなった。それからは姉が三度の食事を世話してくれている。これまでが元気過ぎたのかもしれない。歳が歳だけに致し方ないことではある。

小欄を綴っていて時折悩むことは、どこまでプライバシーをさらけ出すかということである。前述のこともあまり触れたくない内容だけれど、これを記しておかないと、あと何も綴れなくなりそうな気がして・・・。

実は、昨日の日曜日から6泊8日の予定でバルト三国方面に旅行する予定だった。社宅時代からお付き合いのあるS夫妻からの誘いもあってご一緒するつもりだった。が、キャンセルした。姉はせっかくだから行って来い。と言ってくれるがそういうわけにもいかない。致し方ないことである。

現在発売中の雑誌スクリーン7月号には「スター・ウォーズ」カウントダウン カレンダーというのがオマケに付いている。「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」の公開まであと何日、あと何日と、12月18日の公開日に向けて、まさしく盛り上げようというカレンダーになっている。

その中に「今月のスター・ウォーズ格言」という欄があって、これまでの作品の中から登場人物が吐いたセリフが掲載されている。

6月は「エピソード5」からヨーダのセリフ
   やるか、やらぬかだ。試みなどいらん。
   Do. Or do not. There is no try.
な~るほど。もっと若いときに噛み締めたかったねぇ。

8月は「エピソード3」から、これもヨーダ
   死は生きることの一部だ。
   Death is natural part of life.
さすが、ジェダイの長ヨーダだねぇ。この歳になると、噛み締めたくなってしまう。

所用で梅田に出たついでに映画を見てきました。いかん、いかん、映画に対して“ついでに”は失礼だな。

その「誘拐の掟」、現在発売中の雑誌スクリーン7月号の解説を借りると “米ミステリー界の重鎮ローレンス・ブロックの代表作マット・スカダー・シリーズの一遍を映画化したハードボイルド。探偵スカダーに扮するのは「ラン・オールナイト」のリーアム・ニーソンで・・・” ということで、だいぶ期待したんだけれど、ダメでした。

アクション/サスペンス作品でありながら、冒頭の銃撃戦と終盤を除いては、見せ場という見せ場が無かった。ストーリーで惹きつけるわけでもなく、これだけ盛り上がりそうで盛り上がらないまま終盤に突入したアクション/サスペンス作品もめずらしい。

最初はポップコーンをほおばりながら鑑賞していた隣の席のおじさんが、イビキをかきだしたのも、盛り上がらないせいなのか。そのイビキが余りにも大きいので、思わず肘で小突いてしまった。お金を払って映画を見に来て寝てしまうというその神経が分からへん。

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主人公が警官を辞めて私立探偵になった経緯、誘拐犯の人物像や犯行動機、主人公を慕う黒人少年、主人公の仕事を妨害するかのように出てきたFBI捜査官たち、・・・、作品に奥行きや膨らみを持たせるためのそういった要素が上手く描ききれず、どうも中途半端だったような気がして入りきれなかった。ひょっとしたら、隣のイビキのせいかもしれないが・・・。

特に、誘拐犯の描き方がボヤーとしていたのが残念。「羊たちの沈黙」(1990年)の誘拐犯のように猟奇的でもあり、相手を選んでの身代金目的の知能犯のようでもあり、よく分からなかった。あそこまで犯人を露出させてしまったのであれば、ちゃんと描いて欲しかった。このテの作品は悪いヤツが悪いほど、作品は引き立つのだ。

ということで、リーアム・ニーソン主演の同時期公開作品「ラン・オールナイト」対「誘拐の掟」は「ラン・オールナイト」に軍配を上げた ハリー東森 でした。

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