シヌマDEシネマ/ハリー東森

2013年10月

先週、名古屋近郊K市に住まう母親のところに行く途中の出来事。 家を出ていつものように難波に向かう電車に乗った。私が座った席のちょうど隣に白人女性ふたりの先客がいた。高野山の周辺が世界遺産になってからこっち、この某N海電車高野線に乗車する外国人が増えたようだ。

海外からの団体ツアーはおそらくバスで行くんでしょうが、電車に乗って高野山に向かう外国人は個人旅行なんでしょう。大きなリュックを背負った、いわゆるバックパッカーを多く見かける。

さて、その隣に座っていた白人女性ふたり。ドアの上にある路線図の案内板を見たり、停車するたびに駅名を表示した看板のローマ字をたどたどしく読みながら、手元の地図らしきものを見て、ふたりでボソボソと話している。どうやら降りる駅を気にしているらしい。

私はといえば、浅田次郎の文庫本「一刀斎夢録・下巻」を読みかけたのだが、隣のふたりの様子が気になってしかたない。チラチラと窺っていると、どうやら母娘のようで僅かに聞こえる会話は英語ではない。フランス語か?ちがうなぁ分からない。

これまで幾多の英会話に挑戦するも挫折してきた私だが、ここはだまって見過ごせない。助けてやろう。しかし、怪しいオッサンだと警戒されるのもいややしなぁ。私の経験からして、ローマでもパリでもロンドンでも、ウサン臭いお兄ちゃんやオバサンに声をかけられて、アブナイ目に遭いそうなことがあったからなぁ・・・。そういうヤカラと思われてもかなわんしなぁ。

と気にしつつも「おねえちゃんたち どこ行くねん」・・・とは聞けなかった。「Where you going?」と思わず声をかけてしまった。すぐ隣の若いほうの女性が笑顔で「シンイミャミュア」と答える。「Shin-Imamiya?」「シンイマミヤ」「Oh I see」どうやら怪しいオッサンとは思われなかったようだ。

新今宮駅で降りたいらしい。まだだいぶ先だ。「よっしゃ分かった。駅の手前に来たら教えたる」と英語で言いたいのだが出るわけがない。出た言葉が「French?」「イタリアーノ ローム」「Oh・・・」ここから先の会話が進まない。

「ローマでっか。たしか2000年に行きましたわ。美しい街でんなぁ。トレビの泉でジプシーの少女から新聞を買え買えとしつこく付きまとわれたことがありましたわぁ」などと話したいのだが話せるわけがない。今思えば中学のときに覚えたジリオラ・チンクエッティの「夢見る想い」を唄ったら驚いたろうねぇ。「ノノレタ ノノレタ ペラマルティ ノノレタ」・・・若いから知らないか。

やがて電車は新今宮のひとつ前の駅で停車。「Next station」「アリガトウ」こんな会話しかできないのが情けない。新今宮で降りる時もふたりは「アリガトウ」と言ってくれた。4つしか思い出せないイタリア語の単語の中から「チャオ」で返した、日本の怪しくないオッサンでした。

昨夜、友人のTJさんからLINE経由でスマホにメールが届いた。それも海外からだったのでちょっと驚いた。2ヶ月前からフィリピンに滞在しているとのこと。メールの内容は、私のこのブログが1週間以上(正確には本日で11日間)更新していないが何かあったのか、というもの。

わざわざ海外から心配していただきすいませんねぇ。月1回のバンド活動もあって、先週から名古屋近郊K市に住まう母親のところに数日間滞在したりとバタバタしてました。そんな理由をつけて返信してみたものの、正直なところは小欄で綴りたくなるようなネタが無かったということです。はい。

このTJさんとは同期入社の職場仲間。リタイアしてからは、元気なうちにしか旅行はでけへん。と言って、南米やらシルクロードやらフツウとはちょっと違うひとり旅を楽しんでいる、ちょっと変わったオジサンなのだ。

そうだ、これをネタに小欄を綴ろうと、まさしくこの文章を入力している最中に、TGさんからこれまたLINE経由でメールが届いた。その内容は、お義母さんの具合はどうですか。ブログが更新されていないので心配しています。といったもの。

TGさんは四日市市近郊に在住の、その昔一緒に仕事をした仲間で、まだ現役で活躍しておられる。メールによると、TGさんの母上も入院中で月1回、実家のある新潟へ通っているそうで他人事とは思えないとのこと。そうですか。そちらも大変だ。

ということで、当ブログをちょっとの間ほったらかしたおかげで、久しぶりのお友達と連絡がとれた ハリー東森 でした。

骨折してしまった。私ではない。また、義母がである。先日3連休真ん中の日曜日、朝食をとるために歩行器から食卓の椅子に移ろうとした義母は、座り損ねて尻餅をつくように床に転倒した。痛みをこらえながら、座ること、立つことは何とか自力でできるが、歩けなくなってしまった。

休日ということもあり、単なる打身なのかどこか骨折したのか分からないまま2日が過ぎた。それでも痛みが引かないため休日明けの一昨日、市民病院へ。抱えて車に乗せるのはふたりがかりでも困難だし、介護タクシーもそこまではちょっとムリと言われるしで、救急車をお願いすることに。今年に入って3回目の救急車である。この7月の大腿骨骨折の状況が蘇る。

7月と同じように、救急担当の医師からレントゲンを見せてもらいながら説明を受けた。骨盤の恥骨に亀裂が入っていた。1回のレントゲン撮影ではっきり分かるのもめずらしいとのこと。普通は何回も撮り直すらしい。従って他にも骨折箇所はあるかもしれないとのこと。即入院。(翌日のMRI検査で他には異常ないらしい)

9月末に退院したものの僅か3週間での再入院となってしまい、本人はどこまで理解しているか疑問だが、相当ガッカリしていて可哀相になる。リハビリができるかどうかもこれからの様子見で、これまでのような歩行器での歩行もムリかもしれないようだ。

本人にとって、家族にとって、この先どうしたらいいのか。今回の入院はそれを考える良い機会かもしれない。

高校時代の同級生と続けているバンド活動もこの9月でまるっと17年。ほぼ月1回のペースで練習を行っている。演奏する曲目や演奏のジョーズ・ヘタについては本題ではないのでまた別の機会ということにして・・・。

演奏する曲目のほとんどは市販のバンドスコアをメンバーの誰かが購入し、メンバーにコピーして使っている。(一時期、MIDIデータからそのテのソフトを使ってバンドスコアを印刷していたが、今は中断している)

前回の練習曲から、初めてネットで購入したものを使用した。ダウンロードしたバンドスコアはPDF形式になっている。これをMP3に変換した原曲と共にメンバーにメールに添付して送信する。各自印刷する手間はあるがコピーしなくて済む。

便利だと思ったけれど落とし穴がありました。楽譜が小っちゃい。還暦を過ぎたオジサン、オバサンには小っちゃ過ぎてツラい。特にTAB譜の数字は五線譜の線と重なって0か8なのか、5か6なの分かりづらい。これがその楽譜の一部。

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小っちゃい楽譜を大きく加工して見やすくしたいがために「いきなりPDF」というソフトをアマゾンで購入した。まずその前に、PDFとはそもそも何なのか。を説明しないといけない。

Excelで作成した書類を友人にメールに添付して送ったとする。受け取った友人のパソコンにExcelが無かったらその書類は開けない。もし有ったとしても友人の持っているExcelのバージョンが古いと開けない可能性もある。最近こういったケースは少なくなったが、こういうことはよくあった。

Adobe社が開発したPDF(Portable Document Format)は、パソコン(だけでなく今やタブレットやスマホも含めて)にAcrobat Readerというソフトさえあれば(最初からインストールされている)、その書類が閲覧できるというもの。基本的には見たり印刷するだけで、イジルことはできない。イジルにはAcrobatという高いソフトが必要だった。

今ではPDFを作成するフリーソフトが種々出ていて、前述の例でいえばExcelでこさえた書類はPDFに変換して友人に送れば問題がなくなる。さらにはサードパーティからPDF形式の書類を直接イジルことができる比較的安価なソフトが販売されていて、今回購入した「いきなりPDF」もそのうちのひとつ。

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さてその「いきなりPDF」だが、使い勝手が良くない。具体的な操作性の悪さは、本題ではないので省くが、10年近く前に職場で使っていたAcrobatという高いソフトと比べると格段の相違がある。値段も格段の違いがあるからしかたないか。

それと基本的な問題として小っちゃい楽譜を切り取って拡大してもやっぱり見にくいのだ。つまり小さいだけでなく元々が鮮明でないのだ。鮮明でない楽譜を拡大しても滲んでしまうだけでやっぱり見づらい。(解像度の低い画像を拡大して見るのとよく似ている)

ということで、「いきなりPDF」を買ったものの、あんまり事前検討しないまま、「いきなり」買ってしまってチョット後悔している ハリー東森 でした。

大腿骨骨折で7月20日から入院していた義母が退院して、2週間が経過した。骨折の治療に1ヶ月、リハビリに2ヶ月、全治3ヶ月の予定が2ヶ月余りでの退院となった。さすが女は強い、と思っていたがどうやら違っていた。

リハビリをあと1ヶ月延長しても、現状からのさらなる改善は見込めなかったからのようだ。入院前は杖を頼りに室内を歩いていたのが歩行器に変わった。座っているのがシンドいようで、食事とトイレ以外はほとんど横になっている。夜は4~5回トイレに行く。そのたびに家人が起きて世話をする。私もつられて目が覚める。

入院中にはいろいろ検査をしたらしい。担当医からは卵巣に腫瘍の可能性があるとか、片方の腎臓と膀胱をつなぐ尿管が細くなっているため腎臓に尿が溜まっているが原因不明とか、いろんな病状を提示された。「詳しく調べますか?本人に負担がかかりますが・・・」と言われると、当人もツライだろうし今さら分かってもどうしようもなく、身体に別条ない範囲ですべて断ってきた。

来週には96歳の誕生日を迎える老婆である。悪いところが無いほうがおかしい。3年前に入院した時も今回の入院も、担当された医師たちの見立てによると、どうやら身体中の至るところが病んでいるようである。それでも生き永らえているということは・・・、やっぱり女は強いのか。

SFという、いわゆる空想の世界を扱った映画にもいろいろあるけれど、反論を覚悟して大雑把に色分けするとしたら、ひとつは一昨日WOWOWで放映していた「アベンジャーズ」や「X-メン2」のような、まさしく漫画の世界から飛び出したような奇想天外な世界を描いたもの。

もうひとつは将来起こり得るかもしれないようなリアリティを含んだものに分かれるような気がする。あえてそんな分け方をしたのは、「エリジウム」という作品が、前述の分け方でいえば後者というつもりで鑑賞したからだ。

今から約150年後。環境が悪化した地球には貧困層が住み、富裕層はエリジウムと呼ばれる宇宙ステーションで暮らしている。その各家庭には、どんな病やケガでも完治してしまうという魔法のようなマシンが置いてある。「エリジウム」の舞台はそんな設定で始まる。

“貧困層”対“富裕層”、この構図がどうも引っかかってしまい映画の中に入り込めなかった。貧困層=フシアワセ=良い人たち、富裕層=シアワセ=搾取する人たち。まるで共産党、社民党推薦作品のようである。そんな単純なものではないでしょ。それに魔法のマシンがあるにもかかわらず、エリジウムにはお年寄りがいないようで気になってしまった。150年後とはいえ、どうも説得力がなかった。

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主人公のマット・デイモンの坊主頭ももうひとつだった。坊主頭にしなければならない必然性はまったくないはず。この人はやっぱりアメリカ片田舎の好青年というのが良く似合う。脂っこいのは似合わない。ジョディ・フォスターもなんか中途半端だった。

それでも、宇宙ステーション・エリジウムの様子や地球と行き来するシャトルなどの描写は秀逸だったし、アクションシーンでは音声をときどき無音にすることで効果を出していたりと、映像はなかなか見せてくれました。

会話のほとんどは英語で、どうやら貧困層の公用語はスペイン語、富裕層がフランス語という設定も、現在のEUの優等生と劣等生といったお国事情を揶揄しているようで、なんかイヤミに感じてしまった。まだまだ述べたいことがあるが、少々長くなってしまった。

監督のニール・ブロムカンプは長編処女作「第9地区」にも今作にも、(好き嫌いは別にして)作品の中ににちゃんとしたメッセージ性を含ませて将来性を感じさせてくれる。次回作が楽しみではある。

とうことで、この5月に公開された約70年後の地球を描いた「オブリビオン」と約150年後を描いた「エリジウム」の “将来起こり得るかもしれないようなリアリティを含んだSF” 対決は「オブリビオン」に軍配を上げた ハリー東森 でした。

WOWOWから鑑賞した作品でおもしろかったのをひとつ。「エージェント・マロリー」。昨年の公開時に行きたくて行けなかった作品。監督が先日鑑賞した「サイド・エフェクト」のスティーブン・ソダーバーグ。

昨年もし映画館で見ていれば、おそらく期待しすぎてもうひとつという印象だったかもしれない。これが我が家で寝っころがって見るにはちょうどいいおもしろさ。映画も見る環境によって印象が違ってくる。

話は変わるが、ラッセル・クロウとメグ・ライアンが共演した「プルーフ・オブ・ライフ」(2000年)という作品は、誘拐されたメグ・ライアンのダンナさんをラッセル・クロウが救出するという話でこれもおもしろかった

このとき、そういったアブナイ仕事を請け負う企業があることを知った。この作品はそんな企業に雇われたスパイ合戦のお話。特に目新しいものはなかったが、そこはソダーバーグ監督、軽快に淀みなく見せてくれました。小粒だけれどナカナカの作品。

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主演がまったくシロウトのジーナ・カラーノ。なんでも女子総合格闘技界のスターらしい。彼女がキュートで魅力的だからたまらない。これがまたムチャクチャ強いこと。シュワちゃんやジャン・クロード・バン・ダムみたいにマッチョな世界から映画界に入ってきた男優はたくさんいるけれど、そういうのが女性にあってもいいわけだ。

脇を固める男優陣がユアン・マクレガー、マイケル・ダグラス、アントニオ・バンデラス、「プロメテウス」のマイケル・ファスベンダー、最近よく出てくるチャニング・テイタムとなんとも豪華で、シロウト女優を上手にサポートしていた。

DVDに保存して、また鑑賞しよう。

映画『エージェント・マロリー』スペシャル映像
YouTube: 映画『エージェント・マロリー』スペシャル映像

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