3年前の「ザ・マジックアワー」(昨夜も民放で放映していた)のおもしろさに惹かれて「ステキな金縛り」見てきました。可笑しくてホロッとさせて、いやーおもしろい作品でした。
毎日を楽しく暮らすには、ユーモアという要素も必要なものだと考え、常日頃から実践しているつもりの私にとって、三谷幸喜という人が持っているユーモアは共感するところが多い。この作品も、けっして下卑た笑いに流されることなく、上品なユーモアがちりばめられていました。
立川志の輔が何かの落語のマクラで、悲しい話をひたすら悲しく語るのは難しくないが、笑いの世界となると受け取る側の感性の違いがあって難しい。つまり悲しい話は誰が聞いても悲しいと感じるが、笑いとなると同じギャクでもおもしろいと思う人と、しょうもないと感じる人があると語っていた。同感である。それだけに、笑いをベースに人を引きつけるのは難しいのだが、この作品は上手に笑いを醸し出していた。
我々の若い頃に比べ、趣味や娯楽の多様化が云われて久しいが、映画の世界でも多様化、つまりターゲットの細分化が進んでいると思っている。若者に受けようとする映画、年配に迎合する映画、女性に絞った映画、小難しい映画好きに媚びる映画・・・。この作品は老若男女を問わず誰にも受け入れられそうな、いまどきめずらしい映画かもしれない。
監督(脚本家)が作りたいものを作って、出演者やスタッフが楽しんで参加しているようで、それが観客にも受けるという、映画としては理想的な構図と受け取りました。
さて来年2月頃発表の、小難しい映画好きの人たちによって選ばれる「キネマ旬報」の2011年邦画部門で、この作品が何位になるのか今から楽しみだなぁ。